昔のハツリ跡

姫路城に再びやってきた

「特別公開」という言葉にはどうも弱い…………。

Instagram でたまたま、これまで見たことないような姫路城の床板の写真に目が止まる。あれっ、こんなところってあったかな?と思ってよくよく見ると、世界遺産登録25周年記念で2月中は櫓と小天守が特別公開、ということで、その部分の写真のようだ。2月はもう終わってしまう。僕はもう居ても立ってもいられず電車に飛び乗ったんだ、みたいな表現が歌の歌詞なんかにもよくありますけどお客さま危ないですから駆け込み乗車はお止めくださいですよ。

と、いうわけでやってきたぜ地元ローカル柘植駅。無人駅ではないけど窓口には駅員すらいない……。

僕は姫路に行きたいのだけれど何故か柘植駅は全力で忍者を推してくる。

ちなみに、こちらの駅の改札は人類の叡智の結晶・最新式の自動改札となっております。Suicaって何ですか??

久しぶりに電車に乗りましたが電車旅はいいですね。寝てても着くのはありがたいです。

で、やってきました姫路城

この辺りは素通りで(笑)

ひたすら特別公開の部分を目指します

素通り、で思い出しましたが、殆どの人が素通りしてしまう姫路城入り口の手前に、こういうものがあります。

ここに、修理の時に交換された古い柱が展示してありますので必見です。気付かずに通り過ぎてしまう人が多いのが勿体ないです。ハツってはないですけど……。

で、来ました、ロの渡櫓!

すぐわかってしまうのだけれど、真ん中だけが古い床板ですね。

かなりザクザクザクっとブン殴ってあります。

このブログでは何度も登場するネタですが、古い床板は解体修理で一度めくって再び張られているので、だいたい釘穴が余分に開いています

当初材だとすると400年くらい経っているそうです。ザクザクではありますが経年で角が取れて味わい深いです。足触りも柔らかいです。現代ならクレーム間違い無しですが……

いちおう、ここも触れておきましょうか。古い床板と、交換された新しい床板との境目はこんな感じですね。

これを交換すると

こうなってしまうようで……

製材の帯鋸の跡まで残っていて、手抜き感満点。ちょうなはつりの荒さを現代風に再現したつもりなのだろうか?。しかし打ち込まれているのは和釘という手打ちの高価な釘であって、一体何がしたかったのかよくわかんないことになっています。オリジナルに対する敬意などカケラもない。音楽家であれば何百年前の楽譜であっても一音一音丁寧になぞりますよね。また、芸事ではよく「守破離」といいますし。どういう意味かというと、まずは先達の跡を忠実に辿って辿って少し決まり事を破ってみる、そして最後に先達から離れた独自のものを生み出す、ということですよね。。元々のものに敬意を払わずデタラメな事をするのは、ただの破れかぶれではないかと思いますよ。こういうところが建築の本当に怖いところで、喋って間違ったことならテキトーに謝っておけば済むようなもんですが、やったことっていうのはずっと残るわけで。これも修理されたのは昭和38年ですからもう50年以上経っていますので関わった人も殆ど既にこの世にいないでしょうけど、それでも今だにこういうメンドクサイ人が来てですね、これ修理した人ってアソポソタソなのか?    

て言われるわけですよ。あ〜怖い怖い。「死んだ後に言い訳しなくていいような仕事を残せ」、と職人の世界でよく言われるのはこういうことなんですよね。

だいたい木を扱う人たちは表面のテクスチャーには無頓着な事が多くてテキトーなんですよね。内装材の取り替えでこんなのが通用してしまうのなら外壁だって漆喰壁じゃなくペンキ塗りでいいじゃないか、とさえ思えてしまいますよ。が、しかし左官さんはさすがにそういう点はしっかりしているので、そうなってしまうことは無さそうですけど。

国宝でもこんな調子ですからハツリ材なんてものは文化財ですら再現する価値さえないもの、という扱いなんでしょう。別にいいですけど、それは。国宝ですら見向きもせず放ったらかしてるものを手掛けていれば自分の仕事の希少価値だけはやたらと上がりますから、はい。機械ではない本物のハツリ材を床板に使用する家は国の宝である国宝より貴重な扱いを受けてるってことですよ。もうね、文化財を直す時はどうぞ、ハツリ材なんかは皆んな捨ててしまって機械仕上げに替えてハツリ文化をブッ壊してくれればいいですよ、はいはい。文化庁が国宝が見捨てても私はハツリを見捨てませんからね。「私のことは嫌いでもハツリのことは嫌いにならないでください(号泣)」

のスタイルでやり通しますよ〜。

 

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