釿(ちょうな)によるハツリ・名栗加工

石器の時代から存在する“生きた化石”ともいわれるチョウナ。古代から受け継がれるハツリの技を現代に。

  • 遥か昔 石器の時代から伝わる技術
    斧と共に最も原初的な道具であるチョウナは世界中の文明で使われてきました。木を倒したり、丸太を掘って丸木舟を作ったり、あるいは板を平らにしたり、と古代には建築や生活道具の製作に欠かせないものでした。日本においても石器の縄文時代から鉄器の弥生時代を経て現代に至るまで連綿と使われ続けています。700年以上前の絵巻物にもチョウナを使う職人さんが描かれています。驚くべきは、当時のチョウナが現代使われているものと殆ど変わらない姿をしていることです。 ------春日権現記絵
  • どこにでもあるものから そこにしかないものを
    世界中で使われてきたチョウナですが、日本では類い稀な鍛治技術と職人気質によって独特な使われ方をするようになります。チョウナでスパッと切った木肌をあえて見せるように使うことが茶道の黎明期・桃山時代頃から始まりました。元々は粗野な下仕事に過ぎなかったハツリ痕に、千利休や織田有楽斎といった初期のお茶人達がある種の「美」を見出したこと、これが現代では「名栗(なぐり)」と呼ばれているものの始まりだと思われます。
  • 各地に残るチョウナの刃痕
    江戸時代初期頃までのお城や民家の部材には、比較的よく当時のままのチョウナのハツリ跡が残っています。今では当たり前の、平滑な木材を使うというのは当時は大変な贅沢だったのです。(写真は犬山城天守閣の梁)。それほど手間をかけられない農家や、お城などは部材が大きく数も多いので、平面にするところまでは手間を掛けられず、チョウナやマサカリによる凹凸が残ったままの仕上がりになっています。

手と道具と自然の素材