雑感

チョウナの絵を毎日見てる

チョウナのことを知らない人は沢山いる。だけど、間違いなく殆どの人は、気付かないままチョウナとハツリ屑(のようなもの)を毎日見ている。

それは新聞の上の方には必ずいる。新聞記事の中にも沢山いる。役所に書類を出す時にも、請求書を書く時にもチョウナに出会ってしまっている。日本に住む人なら誰でもチョウナのイメージにほぼ毎日出会い、何度も何度もチョウナ(のようなもの)を描いたりもしている。終わりゆく元号の中にもチョウナは隠れているし、「peace を日本語では?」という問題の答えを書く時にまでチョウナとハツリ屑の絵を無意識のうちに書いてしまう。殆ど病気だ。もうチョウナ無しでは生きられない。まるで洗脳のようにチョウナのイメージは繰り返し繰り返し刷り込まれてしまっている。「日本人をハツリ・ジャンキーにするためのフリーメーソンによる陰謀だ」という都市伝説が出てきてもおかしくない。信じるか信じないかは貴方次第です……けど(汗)。

 

信じるか信じないかに関わらず、図書館に行って白川静さんの「字統」(平凡社)というデッカい字典を開いてみると、ちゃんと書いてある。

「平」

于は手斧(ちょうな)の形。八は木片の形。手斧で木を削(はつ)   り、木片が左右に散る形で、平らかに削る意を示す。

 

他の字典には、水草が平らに茂る様子から、とかツマンナイ説が書いてあったので、一応自分で検証してみることにしました。

おぉっ、「平」にしか見えない。(ハツリ屑の配置に相当あざとさを感じますが、心の綺麗な人には「平」と見えるように画像に特殊な処理を施してありますので、ひとつよろしくお願いします)

この説でいくと「平家物語」は、チョウナとハツリ屑の家の物語だし(平家は世の中を平らかにするチョウナを持っていなかったのだ)、平成とはチョウナとハツリ屑に成る時代であった。平和はチョウナとハツリ屑の和で達成されるものであり、平均値とはチョウナとハツリ屑で均して得られる値である。

 

「字統」の解説には続きがあって、

平の古音は便(べん)に近く……おそらく手斧をうつ音の擬声語であろう。それより平治・平定・平均の意となり、すべて安定した状態をいう。

 

なんとなく、この「ベン」という音はチョウナの刃が木に当たる音というより、チョウナの柄が衝撃でしなる音のような気がします。白川静さんは1910(明治43)年生まれの漢文学者ですから、当時はそこかしこで大工さんがチョウナを使っていた時代ですから、おそらく実際にチョウナを使うところを見聞きしていたと思われます。でなければ、このようなことは書けないはずです。さすが明治生まれは違う、今の学者ではチョウナを見たことがないので音のことまでは書きようがない。

スローで再生すると「ベン」と聞こえなくもないです。

 

 

 

 

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