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木造始祭(こづくりはじめさい) 令和8年4月25日

20年ぶり!に行ってきました。伊勢神宮の式年遷宮の木造始祭(こづくりはじめさい)。神宮版の釿始め式です。これから工事を始めさせていただきます、と神様にご報告して工事の無事・安全を祈念する儀式です。

前回のご遷宮が2013年(平成25年)ですので、まだ12年しか経っていません。あれ?式年遷宮は20年ごとでは?と思われるかもしれませんが、ご遷宮の工程はおよそ8年かかりますので、次回の第63回式年遷宮は2033年(令和15年)ですから、すでに始まっています。そして前回の遷御(新しい社殿に御神体を移す)の後も、小さな社殿の建て替えは順繰りに続いています。ですので、一般的にニュースになるのは20年ごとですが、地元の人からすると、もうずっと年がら年中何かをやっているような感じがします。

木造始祭は色々な社殿で行われていますが、今回は大台町の瀧原宮に見に行きました。

こちらでお祓いのような儀式の後、新しく社殿を建てる場所に向かいます。
儀式に必要なものが運ばれてゆきます。

社殿の屋根の苔むした様子や、屋根に載っている鰹木が腐りかかっているのを見ても、そろそろ限界だなという風に見受けられます。20年ごとの建て替えというのは実によく出来ています。

ヒノキの丸太の前にチョウナが二丁見えます。玉石の上にゴザを敷いただけの簡素なしつらいです。
白い衣が神職さんで、水色の衣を着ているのが小工(こだくみ・一般的なところでいうところの宮大工さん)。「大工」というのは元々は官位であり、現在でいえば建設省のお役人ということになりますので、職人さんは小工となります。

この後、祝詞があげられます。たくさん見学の方がいて撮影は自由ですが、ここで警備の方から「祝詞の間は撮影はお控えください」と声がかかると、パタっとシャッターの音が止み静かになります。皆さんとてもお行儀がよろしいのですね。

ここからは他の釿始め式と同じく、ノコギリで丸太の両端を切り揃える動作

次に、墨付けの動作

と続いてゆきます。

と、ここで他のところで見た儀式の流れと違うところが出てきます。

他のところでは、ここで宮大工さんがチョウナを振ります。が、神宮の儀式では神職さんが前に出てきて宮大工さんより先にチョウナを振ります。ここが非常に興味深いところです。ノコギリや墨壺を使う工程では座ったままであった神職さんがチョウナに限っては先に前に出てチョウナを振るのです。これに何か象徴的な意味があるのかわかりません。チョウナに神性を持たせているのかもしれません。

その振り方も、他で見たように木をコツンと叩くのではなく、左・右・真ん中と辺りの空気を祓うかのように振るのです。神職さんがお祓いをしているような感じを受けました。

続いて、小工さんも釿を振ります

こちらは先ほどとは印象が違い、無事を祈念している人間の姿のように見えます。

これで終了です。ずいぶんあっさりと終わってしまったようで、幾分拍子抜けしました。はじめにも述べましたが、玉石にゴザを敷いただけの簡素なしつらいです。撤収もあっという間です。他で見た釿始め式は道具も儀式用に豪華に飾られていました。道具箱は漆塗りに金が使ってありました。チョウナの柄も黒い漆塗りでした。ここではチョウナの柄は皮を落として白い木肌のままです。なんの飾りもありません。よく考えるとこれが本来の姿だったもかもしれません。儀式をより荘厳に見せるために、威厳をとりつくろうために後から付け足された装飾に、そして過剰な演出に慣らされ過ぎてしまっていたのかもしれません。伊勢神宮がよく「心のふるさと」と表現されるのも、特別な精神的な拠り所であるのも、やはりここにしかないものがあるからなんでしょう。

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