やれやれだぜ………。
世の中には色んな業者さんがいるものでして…。
仮に、大阪の◯商店(仮)としましょうか。
あれは七年ほど前の春の頃。今は倒産して飛んでしまった近所の設計事務所の所長S 氏がそこを連れてきました。(このS氏は所員に対するパワハラで有名だったので、あまり信用ならない人物だった)。◯商店(仮)がどこにハツリ仕事を頼んでいたかを僕は知っていたし、僕はその方のことを大変尊敬していたのでその方の仕事を横取りすることになってはいけないと思い、断るつもりだった。。。
ところが何かのトラブルがあって揉めてしまい今まで頼んでいたところに断られてしまったので、代わりに出来る人がいないので困っているからどうしてもお願いしたいと言う。そのトラブルの詳細を聞くのは野暮だと思い聞かなかったのだけれど、今思うとどうせ何かとんでもなく義理を欠いたことをやらかしたんだろう。聞いておけば良かった。いや、どうせ本当のことは言わないか……。そこで、ついつい、(これが自分の非常に悪いクセなのだけれども)、そんなに困っているのなら、必要とされているならそれに応えていくのが人の道であろう、困った時はお互い様というではないか、などと変な心意気を発揮してしまい引き受けることにした。
その時の話で、「これまではどこにハツリ仕事を頼んでいるかは公表していなかったけど、向井さんにお願い出来るなら公表させてもらいます」という話であった。これが後でわかるのだけれど嘘でした。(後から考えると、出会ったその日から嘘をついてたような人を信用するのがそもそも間違いだよな)。
何度か仕事を依頼されるうち、有名な建築家の仕事や文化財の仕事など、所謂いい仕事もあるのですが、実際は向井がやっているということは一切公表されず、ですがそこの材木屋は「光栄なことに〇先生のお仕事させていただきました!!」とそこだけはしっかり発表して自社の宣伝に利用しているわけです。あれっ?、これ俺がやってんだけどなぁ……。自分としては仕事をしても公表出来ないのでは何の実績にもならず割に合わないな、という感じでした。おまけに仕事の単価はゲロ吐きそうなくらいに安いし。その頃から「なんかおかしいな」という気持ちもありつつ(そこで騙されてることに気づけよっ!)、これも自分の非常に悪いクセなのですが、まっ、人それぞれ色んな事情があるからな、と意味のわからないお人好しのスーパー理解力と共感力を発揮してしまい、そこを不問に付してしまいました。
そんな中、加工が終わった材料を引き取りに来る際にも、「これ買ってくれませんか?」と色んな材料を持ち込まれる時もありまして。正直その中には、使えるものもあればすぐには要らないものや全く不要なものも含まれていたのですが、(これまた自分の非常に悪いクセですが)、まっ、仕事もさせてもらっているわけだから、いわばビジネスパートナーだから、全部買い取るわ、と意味のわからない連帯意識と太っ腹ぶりを発揮してしまうわけです。仕事をしたのに材料を無駄に買ってしまって、結局収支はマイナスなんですね(涙)。。。
ついでに、、義理人情は大切やろ〜と、変な漢気を発揮してしまい(マジでアホ、押忍!)、地元で買ったほうが安いものでもわざわざそこに発注して買ってしまったり、、と、結局、収支的にも実績的にも自分には全く何も残らないことをズルズルと続けてしまいました。。。積み上がったのはゴミのような無駄な在庫だけです。嗚呼、そういえば昨年の年末に「倉庫の片付けをしているので材料を買いに来て欲しい」と言われ出かけて行き、買ったもののうち持ち帰ることが出来なかった材料も「何かのついでに持って行きます」と言ったまま半年以上も放置状態。既に代金は支払ってあるのにこの有り様。ずいぶんとナメた真似をしてくれたものです。と、いうか、支払いしてあるのに納入しないってドロボー同然、倫理観はどうなっているのか………あっ、無いのか元々。ウソつきはドロボウのはじまり、とはよく言ったもんです、まさにその通り。その材料には私の目の前でマジックで大きく「向井」と書いたので間違いようがないはずなんですが…しかも本人が目の前にいるのに「向井」て呼び捨てで書くか?小ちゃくても「様」て付けとけよ、お前そういうところやぞ。今頃こっそり名前を消して何処か他所へ売ってしまったんでしょう。一つの材料を二回売れたら一度で二度オイシイ。儲かりまっせ〜、ええ商売してまんな〜。これも、「そんなことした覚えないけどなぁ」とシラを切るに違いない。
他にも、「建築施工のことがわからないから相談に乗って欲しい」と図面がメールで送られてきて全く自分に関係のない案件での意見を求められたり、といったこともありました。知り合いにロクな大工がいないから自分に頼ってくるわけです。こういう修理の際はこういう材で提案した方がいい、とかアドバイスをするわけですが、それで自分の仕事に繋がるわけでもなく、ただただ専門知識を無償で提供させられるわけです。これも、こちらが善意でやっていたことですが、こういうところを突いて利用するのもウマくてセコかったです。
仕事をしていても、とにかく急かされる。それで自分の仕事が犠牲になってしまう。一番ヒドい時には、材料を受け取った途端に、「今すぐ工務店さんが必要だと言ってますが出来ますか?」と聞かれたことすらあります。僕の返事は「じゃ、今すぐには無理なので未加工で返送します」だったわけですが、すると「やっぱり2週間かかっても大丈夫だそうです」と言うことがコロコロ変わるわけです。じゃあ最初に言ってた事は何だったんだ?ということになり、明らかに騙してウソついて優先的に自分のところの仕事をさせようとしてたわけです。この人の言うことはどこまでが本当でどこまでがウソなんだと、変に勘ぐりながらのコミュニケーションになってしまい、余計なストレスとなっていました。
で、とある日、何気にFacebookを見ていたら、そこの社長が「名栗仕事は〇〇ちゃんに頼んでいます〜、上手いですよ〜」と、はしゃいで公表してるわけです。なんか見習い大工みたいな素人のお兄ちゃんなんですけど…………。ま、元々、この社長のFacebookというのが殆ど呑み会の投稿ばかりで「この人大丈夫かいな??」というものではあったのですが……人を騙して儲けたカネで呑む酒は美味いのかい??? ……それはさておき……ここで「あっ!」と気づくわけです(遅えぇよ!)。これが、これまで向井がやっていることを公表してこなかった理由だったのか、と。いつでも他所に切り替えられるように、いつでも向井を切れるように公表してこなかったわけです。エゲつねぇぇぇ。ほんで、テキトーに、代わりにやってくれる見習い大工みたいなお兄ちゃん見つけたからコイツに「安く」「安く」仕事を頼んで公表しよう、向井にはもう頼まんお前はもうええわ、ていうことなんですね。それを直接連絡されるんでなしに、たまたま流れてきたFacebookの投稿で知る、というなんともSNS時代のモダンでナウなお話なんですね。大人は誰でも知っていることですが、同じ情報でもどこからどう伝わるかでまるで印象が違う。時にはその内容より伝わり方の方が重要だったりするわけです。結果としてやることが同じだとしても事前に関係各所に連絡して調整してあれば全然印象が違うし、誰も傷付けないようにだって出来る。それは大人の優しさでもある。大人の世界ではこれを「根回し」というのだけれど、自分のカネ儲けのことしか考えていないクソガキにはそれが判らないらしい。そりゃぁ、こんなことしてれば前任の方にも断られるわけですよ。普通に仕事していれば売り上げになるのにそこを「もうアンタの仕事はしません」ていうのはかなり異常なことですよ。その異常なことが起こってるってことは、よっぽどとんでもなく不義理なことをしたということです。前任者にも取引停止を喰らってるのに、またこんな事をして。そんでまた次のヤツを騙して利用して使い捨てればいいや、ってなもんですよ。あ〜ぁ、どっかにデスノート落ちてないかなぁ。
で、当然ながら、こちらとしてももう無理なんで、という連絡だけは入れておきました。
既に代わりの人間は確保してあるから痛くも痒くもないから引き留められることもなく、あんまり悪いとも思って無いみたいで(サイコパスかな?)、「じゃ、謝りに行きます」と割とカジュアルに言われたんですが、皆さんお気づきですか? これ、「罠」なんです。
これ、受けてしまうと、
1 「謝りに行った」という既成事実を作ることで「自分は筋を通した」という体にしておきたい。
2 わざわざ大阪から謝罪に来させて向井のパワハラ確定!!
3 わざわざ謝罪に来させたのに許してくれない向井は悪いヤツ確定!!
というストーリーが欲しいんですね、怖い怖い。謝罪を受けてもこちら側にいいことが一つも無い。話を聞いて謝罪を受けてしまった時点で自分の負け決定の無理ゲーです。悪い事するのに手慣れた人達ってそういうもんです。悪さをした上で、さらにその相手を悪者に仕立て上げることまでがワンセットのヤ◯ザ顔負けのテクニックを使ってきます。
さすがに自分もこれまで色んな悪い人達を見てきたので、この罠にはすぐに気付いたので「来なくていい」と言いました。向こうも、罠にハメるのには失敗したけれど時間とガソリン使わずに済んだので、何も損は無いからホッとしてるでしょう。。あんな日常的にウソを言う人間が謝罪に来たところで、どうせ嘘八百並べられるだけなので謝罪の意味も無い。
さらには「向井さんの言ってることが100%正しいとは思わん」とか、駄目な人には駄目な人なりの屁理屈があるみたいでクソ生意気なこと言ってましたね。なんでしょうか?向井が100%正しくないなら、自分が少しでも正しいと思ってるんでしょうか?……お前のようなウソつき野郎には1%の正しさもくれてやらんわっ!!
ことのついでにお話しておきますと、似たようなことをする悪い人は地元にいました。仮にI山氏としておきましょう。このI山氏が色んなところの支払いを踏み倒す人なのですが、その時どうするかというと、踏み倒した先と繋がりのあるあらゆるところに先回りして出かけてゆき相手方の悪口を言って回るのです。曰く「〇〇は仕事が荒くてどうしようもない。あれではお金を払ってもらえなくても仕方ない」などなど…。天才的に口が上手いので聞かされたほうはすっかり信じ込んでしまうわけです(ほぼ洗脳です。そういえばI山氏は見た目もオウムの教祖に似ていた)。そうしますと、踏み倒された被害者が「I山氏がお金を払ってくれなかった」と誰かにこぼす頃にはすっかり周りの人間は洗脳されていて「それはお前が悪いんだろ!」という反応しか返ってこない、ということになります。被害者の方はお金を損した上に悪い噂まで広められて踏んだり蹴ったりです。反対にI山氏はお金を踏み倒した上に自分を正当化出来たので味をしめて、また同じ事を別の人に対して仕掛けます。恐ろしいことですが、こういう悪魔的な人は実際います。普通の倫理観を持ってる人なら「そんなことに一生懸命になるくらいなら普通に仕事を一生懸命やればいいのに」と思うところですが、口先だけで儲けることを一度覚えると病みつきみたいになるんでしょう……。まぁしかし悪人の末路というのは決まっていて、さすがに最終的にはI山氏自身の行いの悪評が巡り巡って地元では仕事が出来なくなり、地元に住んでいられなくなったのか離婚して何処かに引っ越して行きました。
今まで何度か「真性のウソつき」とでも呼ぶべき人を目にしてきましたが、ああいう人たちのオソろしいそしてオゾましい特徴は、他人を騙すだけでなく自分で自分を騙してウソを演じきってしまうところです。例えば誰かにウソついて騙したとしても、そもそも自分はウソを言ってないと自分で自分を騙して、しまいには本当にそうだったと自分で思い込むところまでいってしまい、最終的には「何にも悪いことしていないのにウソつき呼ばわりされた」と被害者ヅラまでしてしまうんです。あぁオゾましい。件の材木屋も「前に◯◯さんに取引停止にされた時も、ウチは何もしたつもり無いんやけどなぁ」と意味のわからんこと言うてましたから。何もしてなければ取引停止を食らうわけがないし、絶対何かしたくせにそれを無かったことにして被害者ヅラしてるんですよ。今頃私のことも同じように言うてるはずです。「ウチは何にも悪いことしたつもり無いんやけど向井さんが小難しいこと言うて取引停止にされたわぁ」、て。
で、最初のほうで言ったと思うのですが、自分は尊敬している先駆者の方の仕事は横取りしないようにしています。まず、横取りすると、その方から売り上げを奪うことになります。相手にしてみたらこれ自体が大損害です。そして、そういう時の発注側というのは値段を下げたくて別の業者に乗り換えようとするわけですから「◯◯さんより安くするなら頼んでやるぞ」という態度で押してきますので仕事の単価が下がってしまい、目先の利益を奪い取ったところで長い目で見ると必ず自分も損することになります。相手の売り上げを毀損して自分も損する、誰も得しないです。仕事の横取りをするのなんかは実際には凄く簡単なことで、例えば先方が10万円でやっている仕事を「ボクが8万円でやります!」となるべくアタマ悪そうに言えば簡単に横取り出来ます。しかし考えてみてください。先方は得られるはずだった10万円の売り上げを失い、自分は本来なら得られた売り上げから2万円損しています。全体として見れば12万円の損失を社会に与えていることになります。あれっ、それじゃ何にもしないで寝ててくれた方がマシじゃね?っていうくらいのもんです。しかもですよ、一旦横取りしたからにはその後どんな無理難題が来ようと元のところには頼めないですから自分で全てこなしていく責任も負うわけです。だからまぁ、そういうことを平気でする人っていうのは先達に対する敬意もないし、ある意味いい度胸だしバカだよなと思うわけですよ。これでは人が育つどころかアホが増えるだけです。
あと、建築の世界では古くから「出入り方」っていうものがありまして、ちょっといい旅館やお茶屋さんお寺さんとかですと、専属の業者さんが入って専らそこが修繕や改装なんかを担当しているわけです。ずっと通ってるからお互い気心も知れてるし、何か急なトラブルにも対応してくれるわけです。ちょっとした事ならお金も取らずにやってくれたりね。これが例えば、この工事はあそこが安くやるって言ってるから◯◯工務店に頼んで、別の工事は⬜︎⬜︎建設に、なんてやってますと、それぞれの会社も買い叩かれてますから真面目に仕事しないですし、ましてや急な対応なんかしてくれないですよ。結果、そのお店なりお寺なり旅館が荒れた雰囲気になってしまって必ず衰退します。ですから、しっかりした所というのは、だいたいいつも決まった業者さんが出入りしているものなんです。こういうところで「出入り方」でない業者が割って入って仕事を横取りとかすると大変なことになるわけです。古い言葉ですが「縄張りを荒らした」みたいなことです。ですから、ある程度から上のレベルの仕事をしてる大工さんですとか工務店さんていうのは、そのへんのことをよくご存じですから、躾がよく出来てますから、仕事の横取りということはそもそもしない、人として出来ないわけです。仕事を譲り受けるとしたら、きっちりケジメをつけてからです。安っぽいリフォーム会社なんかが平気でいきなりピンポン鳴らして「ウチはヨソよりも安くしまっせ〜」てやってるのとは、わけが違うんです。ですからもう、横取りとかそういうことをしますと「お里が知れる」っていいますか、自分から「ボクいい仕事したことない腕も頭も悪いアホなんですホジホジ」って言ってるみたいなもんなんですね。ゴミみたいな工務店です。そういう人に頼むほうも頼まれるほうも、ま、相当おかしい人達なわけです。別世界のお話です。ま、こういう工務店はどうせゴミのような建物しか作れませんから、すぐに商売やめた方がいいですよ。
と、つらつら思い返してみると、原因はいつもいつも自分の甘さで、心意気だのお人好しだの義理人情だ信義だのと、そんなものをクソとしか思わない相手に発揮しても仕方ないのに、ついつい誰にも良い顔をして状況に流されしまう……。こっち側から見たら「背信行為」でも、信義に重きをおかない(敢えて言おう)カスからすれば「アイツ何怒ってんだ??バカじゃねぇの」みたいなもんですから。論語にも
人而無信、不知其可也。
(人にして信無くんば、其の可なるを知らざるなり)
(人として信義が無ければ、その人の良さというものはなく、どうしようもない)
とあるではないか、と言ってみたところで相手が無教養なFランおバカちんでは何を言っても仕方がない。言葉も態度も相手を見て変えないといけなかったんです。寛容さや気前の良さを誰に対しても大盤振る舞いするんではなしに、計量スプーンで量るように小出しにしていかないと………。。。特に悪いヤツらに対しては。。
「人をイジメたりを騙すような人間になってしまうより、イジメられたり騙される人間でええやないの」と子供の頃に母親によく聞かされましたが、それにしてもいい大人になって流石にこれは騙され過ぎ過ぎ。。。のほほんとお育ち過ぎでございますよ…トホホ。
最近ハマっているYoutubeの番組に「街録ch 〜あなたの人生、教えてください」という有名無名の色んな人にインタビューする番組があるのですが、たまたま見てた元モーニング娘。の加護亜依さん(特にファンだったわけでもないんです)がこんなことを言ってまして……
「Noって言えないことが自分の人生を狂わせちゃったから、だからYes Noを言える人に絶対なろうと思って…」
グサリときましたね。Noと言えない言わないことでどれだけ自分を無意味に傷つけててきて、そのガサついた心で周りの人をも傷つけてきたかと思うと、もうね…言葉が無い。。。
タイムマシンがあったなら、七年前のあの時に戻って自分の頭を引っぱたいて言ってやりたい気分です。「今こそNo!って言えよ!加護ちゃんも言ってるぞ!」と。。。結局ファンやないかいっ。
街録chはマジでオススメ!