昔のハツリ跡

日本民家集落博物館 大阪 2017.3.19

 

大阪城の後は、服部緑地公園にある「日本民家集落博物館」に行って来ました。

あ〜、やっぱ民家はええなぁ。「ここで暮らす」知恵の集積やなぁ、と。
そこら辺にある木と、そこら辺にある土で、250年とか300年保つものが出来てしまうのだからね。
今は外材だの集成材でプレカットされた家で30年位しか保たないもん。人間は明らかに退歩しとるわ。いわゆる有名な”建築家”というような人達も、結局、60年位しか保たないコンクリートや、プレカット木材のひ弱な構造体でしか建ててないのだから、100年でも200年でも美しさを保つような、こういう建物を建てた名も無き大工に敵わんではないか、と。全ての建築家はこういう所へ来て跪くべきなのだな。建築家の何とか先生が凄い、とか、よくそんな話を聞くけど、全く共感出来ないのはそういう素地があるからなのだな。逆に、誰それが巨匠だとか、そういうこと言ってる人は、ちゃんと古い建物を見てないんだわな。設計士にしても大工にしても、そういう人、多いね。だから長持ちする家は建たないの。資源の無駄使いばかりです。

と、それはさておき、此処も2回目なので、今回はハツリ目線で、昔のハツリ跡を探してみる。

あるある、あるある。
これを見てると、やっぱり昔の製材は、ノコギリで挽くのではなくして、ほとんどがマサカリ・チョウナのハツリであることがわかる。
要するに丸太から角材を作るには、外側の半月状の部分をハツリ飛ばしてしまうのが一番早いんです。はじめは大きくハツることの出来るマサカリを使い、チョウナで整えていく。ノコギリなんて時間がかかるから使ってられません。ここからさらに綺麗にしようと思えばカンナを掛けるのだけど、農家ではそこまで余裕は無いから、これでお終い。ここから全て材にカンナを掛けて仕上げるのはとても時間と労力が掛かります。江戸時代の中期くらいまでは、カンナ仕上げは上層農民や武家や公家位しか採用できなかったんではないかな。今は製材機があるから簡単に四角く造って機械で整えてカンナ掛けるだけだから、昔に比べたら随分簡単なことになってます。


そういう簡単に四角く綺麗な材手に入る時代には、かえってこういう凹凸のある材が新鮮に見えます。昔ここに住んでた人はどう思っていたかわかりませんけどね。もっと綺麗な家に住みたいなぁ、お金無いし、と思ってたかもわかりませんし。現代ですと、四角く製材した木が簡単に手に入りますから、こういうチョウナでハツった木で家を建てようとすれば、かえって高くつくことになります。いったい何が進歩で、発達なのかが、よくわかんなくなる民家園探訪でした。

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